男時々女~ありさの日記~

男に生まれ、物心ついた時にはすでに性の違和感を感じ・・・でも、それはとってもおかしな事、決して表沙汰には出来ない事だっていう世間体みたいなものは小さな子供でも理解出来た。だからひた隠しにしてそんな暗黒の時代を生きてきました。
そして、姓の多様性が認知されつつある今・・・でも、わたしにとっては時すでに遅し。歳をとってしまいました。
今さら・・・でも、でもあきらめきれない><
そんなありさおばさんの「男時々女」の日記です。

ありさニューバージョン!

読んで下さる方がいて・・・率直にうれしいです。


こんばんは~!

ありさです。

今回からやっとのことで、話が核心に入っていきますw

で、核心に至ってひとつ心配事があるのです。

それは、誤解を招いちゃうとやだな~と。


文章で表現すると、どうしてもありさがかわいらしく思えてしまうんじゃないかと言う点!

いくら表現を押さえたつもりで書いても、読む側の想像力ってのは正直おそろしいw

ありさってめちゃかわいいかも・・・

あり得ませんから!!><


そこで、本当は晒したくはないんですが、野郎のわたしについて若干説明しておこうと思います。

そうすることで、想像力にブレーキがかかるんじゃないかなと。

読者さんを失ってしまう可能性の方が大きいですが、そこは敢えて><


もうすぐ還暦を迎えます・・・><

典型的な昔の日本男児とでも言うか、毛深くて、短足で、とにかくごっついおっさんなんです。

女々しさを毛嫌いした両親は、早くからわたしに柔道をさせ・・・


そんな野郎なんです。(涙・・・)

そんな野郎がありさに変身するってことを十分ご承知おき下さい。


消沈ムードが漂って来ている気がしないでもありませんがw

気を取り直して第4話のスタートです。




スタッフが笑顔で出迎えてくれた。

彼女らは、俺が午後9時過ぎののぞみに乗らなければならないことを知っていたので

「それじゃ~時間もあれなんで始めましょうか~。」

「着替えましょうか~。お洋服見せてもらえます?」

と、もう早速の変身モードである。

「あ、はい。」

俺は、例のでかい紙袋の荷をほどいて、ありさグッズを取り出した。


いや、なんと言うか・・・はずかしい。

ここが、男が女に変身するための場所であり、スタッフはそれが仕事な訳だから

はずかしがる必要はまったくない・・・のは判っているが、なにしろ俺は初体験。

女性の前で、野郎がこれから自分が身に付ける女性の衣類をさらけだすってことが素直にはずかしい。


「うわ、かわい~じゃないこのブラ!」

「ミニのスカートだね・・・ヒョウ柄ベースになってるよこれ!」

「白のハイネックか~・・・ファンデ注意ね。汚れちゃうかも。」

「トータルガールズ系ね・・・若作りしなきゃ。」


彼女らは、はずかしさのあまり真っ赤な顔をしている俺の動揺をよそに、ありさグッズを手にはしゃいでいる。

・・・やっぱ女の子はい~よな~、かわいいよな~・・・って言うか俺も一緒になってはしゃぎたいよ。

でも、でもはずかしい・・・そんな事を思いながら俺は半分恨めしそうに彼女らを見つめた。


「さ、着替えて~!手伝いましょうか~?着替えるの。」

え、え?俺が着替えるのを手伝うだって?

やめてくれ~wそれ無理><勘弁して~w

俺がブラつけるところなんか、絶対に女に見せれるもんじゃないから。


「い、いや。自分で出来ます。」

俺はそう言ってパーティションの内側に一人入って行った。


野郎の服を脱ぎ、素っ裸になった俺

ブラをつけ、ヌーブラをセットし、ブラとお揃いのパンティーをはき・・・

鏡に、どんどんありさグッズに身を包んで行く野郎が映っている・・・なんとも言いようのない嫌悪感が込み上げる。

(注 実はありさは、下着女装とか、首下女装ってのが苦手なんです。変身する時は、まず顔を作ってから!顔がありさになってから!

そうすることによって、ブラつけるのもスカートはくのも、ものすごく自然に出来るし楽しめるんです。

考えてみれば女装って言葉が嫌いなのもここに起因するのかも。つまり、装うんじゃなくて変身なわけなんです。ありさは!

だから、普段も、野郎顔のままでブラとかはあり得ない・・・てか受け付けない><)


「靴も履いてくださいね~」

ブーツを履いて、着替え終わった俺を待ちかねたように彼女らは見つめる。

目線が・・・痛いw

「かわい~じゃない!」

「うんうん!」

「メイク楽しみだね~。」


部屋の真ん中に置かれた、散髪屋さんの所にあるのと似たような椅子にすわる様に促される。

「それじゃ~まず、顔を小さくしますよ~!」

彼女は、前の鏡に映る俺をじっと見ながら

「あのね、女なんだから、足は閉じて!ちょっとななめにするのw」

うっ><注意された俺は慌てて膝をくっつけ膝下を斜めに揃えた。


彼女らは、まず、かなりきつめのヘアネットを被せてから、テープを使って俺の顔の形を徐々に変えていった。

頭頂部経由のオーバーハングで両頬を引っ張り上げたり、後頭部経由で目尻を伸ばしたり・・・

俺はミイラかwってほどではないにしても、相当の数のテープが俺に巻き付け・・・いえ、貼り付けられていく。


「ほら!だいぶ小さくなったでしょ!」

確かに小さくなってる!頬から顎のラインなんか全体的にたるみがとれてほっそりしている。

が・・・きつい><

テープの締め付け間と引っ張られ感が半端なくきついのだ。

痛くはないけど、もう顔全体が突っ張って強ばってる感じ。


「次、目行きますね~。ここもテープ使います。がんばって~。」


元が二重瞼だった俺なので、目にテープを使われるとは思ってもいなかった。

「普段アイシャドー何色使ってるんですか?」

テープを細く加工して上瞼に張り付けながら彼女が尋ねる。

「えっと、そうですね・・・」

「パープルとか使ってるんでしょ!」

「いや、若い頃はそうだったかな~。」

「自然な色じゃないと、そこでばれちゃうのよね~。」

そう言いながら彼女は、少し濃いめのピンク系のアイシャドーを、控えめに瞼に流すように引き入れていく。


こんな具合に、メイクのノウハウを教えてくれながらのメイクだった。


「ちょっと下目使いで、えっと、瞼閉じてみて。」

・・・ん?え!閉じられない><

「あの、閉じられないんですが。」

「目を大きく見せるのにかなり引っ張ってるから!なれれば閉じれるようになるんで、とにかくまばたきを心がけて!」


まるで整形手術を受けてるみたいな気分。


もう、対面の鏡に映る俺を見ている余裕はなかった。

引っ張りまくられ、まばたきしようにも半分ほどしか閉じることが出来ず、涙ボロボロ状態。


彼女らは溢れる涙をその都度ティッシュで吸い取りながら根気強くメイクを続けてくれる。


15分ほどかかっただろうか。

最後につけまつげをつけ、アイライナーでボリューム感を出して

「はい、アイメイク終了!」


次に、ファンデーションを塗る作業とからめながら眉毛を作る。


眉毛だけは、普段、野郎でいる手前、へたに剃るわけにもいかないし、ありさ最大の懸案だったけど

何をしてもうまいこといかず、結局はあきらめモードで、いつもウィッグで隠してお茶を濁していた。


それなのに、あれだけ太くて濃い眉毛が、みるみるうちに細くて女性的なラインに変貌していった。

まさにマジック!!


最後にうすいピンク系の口紅を塗り、少し濃いめのチークをさっとながして

「完成~~!」

「お疲れさま~。」

ふ~wやっと終わった。ここまで1時間以上かかっている。


果たして鏡に映った俺は・・・

これが俺?


「ど~お?ビックリしたでしょ!これにウイッグつけると~」

そう言って彼女は用意した、ちょっと栗色の入った、カールのロングタイプのウィッグを被せた。

「ほ~ら!」


鏡には、俺の知らない、ほんとに出会ったことのない

普通に、普通の女性が映っている。

これがありさ???


「はい!微笑んで~!」

・・・言われるままに微笑もうとするが・・・鏡に映る姿にあっけにとられた俺・・・じゃなくて、ここからはありさ!は上の空だった。


「う~~ん。なかなかの美人さんになっちゃったね~ほんとに!」

「目鼻立ちがはっきりしているからきれいよ~!」


ほんまかw

思わず突っ込みたくなる気分だが、確かに鏡には、クリッとした目の女性が映っているのは間違いない。


「さ~一杯写真撮っちゃうんだから」


それからしばらくありさは、女性としてのかわいい仕草を教えてもらいながら

パシャパシャと写真を撮られ続けた。


「ほら!もっと微笑んで~w引きつってるよwお腹へっこめて~」

「顎は引き気味に。うつむき加減で上目使いに。」


髪を上げたり、方襟に集めたり・・・

まるでモデルさんにでもなった様な気分だ。


あっという間に夢のような時間は過ぎ去っていった。

「十分間に合うけど、ちょっと余裕があった方がね。」


ありさが、フードのついた鈍いゴールドのダウンコートを羽織り、バッグを持った時。

「だめ~><そう言う持ち方はしないのw」

「左腕を真っ直ぐ前に伸ばす。バッグを掛けて、真っ直ぐ自分の方に腕を上に曲げる・・・そうそう!そんな感じ!」


女性としての基本がまったく身に付いていないわけだ。

先が思いやられてついつい本音をはいてしまうありさ・・・

「あの・・・まったく自信ないんですけどwこれで無事帰れますかね・・・」


「ぜんぜん大丈夫だよ!たぶん、いや間違いなく誰も判らないよ。声出さない限りww」

「堂々と帰ること!普通にかわいい女性だよ。問題ない!しゃべらない限りww」


かわいい女ってのはお愛想としても、これだけ問題ない大丈夫って言ってくれるんだからそうなんだろう・・・

ありさは改めて腹を決めた。

「わかりました。頑張って帰ります。」

そして

「最後に。これだけはやっちゃダメってことありますか?」

と尋ねた。すると2人は口を揃えて

「女性トイレだけはタブーだよ!」


はいはいw犯罪は犯しません><



店を出る時、まだ不安な気持ちを見抜いた彼女らは

「自信持たなきゃ、表情に出ちゃうよw」

「そんなに自信持てないなら、山手線なら、すわってスマホ見てるとか」


「え!山手線に乗るんですか?タクシーで東京駅まで行こうかと・・・」

「え~~~、十分時間あるし、もったいないよ~。心配しなくていいから。電車で行きなさいって!」


のぞみは仕方ないとして、人の多い山手線に乗る勇気はなかったから意表を突かれた感じだ。

「冒険するんでしょ!別に普通に女性なんだし、冒険じゃないと思うけどw」

「山手線の方が安全だよ!どこで道混んでるかわかんないし。」


お礼を言い、別れを告げて店を出たありさは、言われた通り、うつむきかげんに裏通りから人混みの表通りへと歩き出した。


俺はニューバージョンのありさとなって、今、人混みの東京の街中を歩いている!


ニーハイブーツの「コツコツ」と言う音が耳に心地よかった。

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