行き交う家族連れ
アベック
誰もが普通に通り過ぎ追い越していく。
それでも自信なんてまったくなかった。
じーっと見られるんじゃないか・・・
後ろ指差されるんじゃないか・・・
そんな消極的なことばかり考えながら、おどろおどろ街に出たありさだった。
こんばんは!
小心者なのに大胆なありさですw
さ~ついにサイは投げられました。
変身しての出歩きは、たまにしてるんです。
近くの大型スーパーにありさの下着を買いに行くことだってあります。
でも、今回は、TPOって言うかシチュエーションの違いが半端ないわけで・・・
東京都心で山手線に乗り、東京駅をウロウロしてのぞみに乗る・・・
そんな大胆不敵なことをよくもま~><
・・・やりましたよ!ありさは!!
それでは第5話!開演です^^
風は冷たかったけれど、長い髪が揺れて頬をくすぐるたびに、今あたしがありさだってこと!女なんだってことを実感出来てワクワク^^
高めのヒールにどちらかと言えばサイハイと言っていいぐらいに長い丈のブーツを履いているので
最初はやっぱり歩き辛かった。
でも、内股を意識しつつ小幅にゆっくりと歩いているうちに違和感はなくなっていた。
太ももまでを締め付けるサイハイブーツのこの感じがたまんないし、なにより暖かかった。
さらに人混みの増した駅に着いた。
歩きながら、ヴィトンのバッグから長財布を取り出し
京都までの、のぞみの切符を探す。
ホームもかなり混んでいる。
ドキドキするが、え~い><乗り掛かった船だ。
ありさは、とある列の最後尾に並んだ。
そこへ、20代の女性がやって来てありさの横に並んだ。
彼女は一心にスマホを見つめている。
ありさにはなんの関心もないみたい。
ま、普通に普通の事なんだけどw
でも、これってありさを普通に女だと見て横に並んだってことよね!
と、まあ、そんなくだらない事を考えては自分を無理に安心させたがるありさだった。
車内は座る余地はなく、混み合っていた。
ヒールが高いので吊革を持たないといけなかった。
サイハイブーツに短めのパネルスカートなんて、コートを羽織っただけの状態だったら、諸見えで目立って仕方ないところだったが
コートがセミロングなのと、しっかり前ボタンを止めていたので、その心配はなかった。
・・・と言うか、見せたい衝動ってのが見え隠れしたのには正直驚いた。
目の前に座っているのは、眼鏡をかけた長髪の・・・たぶん学生さん。
ここで、ボタンはずしてオープンにしたら、どうなるんだろ・・・
変なこと想像しちゃったw
バッカじゃないwありさww
無事に東京駅に着いた。
ここまでの道のりは何事もなくこなした。
よかった~^^
と言うか・・・メチャつまんない><
小心者で怖がりな癖して、プチトラブルやハプニングを求めたがる、困り者のありさである。
東京駅では、前以て下見しておいたにも関わらず、新幹線の乗り口が判らずウロウロすることにw
そう言えば、今まで張り詰めていて気が付かなかったのだが、かなりお腹が空いていた。
そりゃそうだ。行きののぞみの中でサンドイッチを頬張って以降なにも食べていないんだもの。
そこで、コンビニに立ち寄って、またまたサンドイッチと黒ラベルを購入。
勿論、店員さんとは言葉を交わすことはなかった。
いぶかる様子はこれっぽっちもなく、普通に対応してくれて、お釣りをもらい外に出た。
考えてみれば、これって、ありさを普通に女だと思って・・・さっきの話とまったく同じ流れなので、以下割愛>
でも、ここら辺でやっと心に余裕ってものが生まれたんだと思う。
ありさなんだから!あたしは。
あたしは女なんだから!
浮き浮きしながらありさはホームに上がって行く。
発車までまだ余裕があると言うか、折り返しののぞみが未だ到着していなかった。
心に余裕が生まれると、格段に周りの景色、様子を見る事が出来るようになった。
お!喫煙室があるじゃない!やった~^^煙草が吸える~^^
中には5~6人の男性がいたが、ちょいと大胆になったありさだったので気にせず中へ。
果たして、女性でマールボロを吸ってる人っているのかな~・・・
そんなことを考えながら、ありさは入り口入ってすぐの窓際に立ち、マールボロをつまみ出して火をつけ・・・
いっけない><
おもわず野郎モードで、鼻から煙を吹き出すところだった。
口笛を吹くように、キュッと唇を細めて、煙を吹き出す。
大晦日前に仕事か・・・背広にトレンチコートをはおった40代の男性が喫煙室に入って来た。
学歴詐称で問題となった某コメンテーター似のイケメンで、颯爽としている。
格好い~!
・・・と、入ってすぐの所に立っていたありさの脇を通り抜ける際、腕がありさのバッグをかすめた。
「失礼。」
彼はありさをチラッと一別してそれだけ言うと、奥の方に進んで行ってしまった。
ドキッ><そして、なんだ、それだけ?
だって、理由がどうであれ、イケメンに声を掛けられたわけでしょ~!高揚感半端ないし!
これだけじゃつまんないよ、横に来て煙草吸って・・・とか~w
でもありさは何事もなかったように、たぶんどちらかと言えば、クールな女って感じで
ツンとした表情で、煙草を吹かすのだった。
そうこうするうちにのぞみがやって来て、車内清掃も済んだ。
さ!どんな人と一緒に座るんだろ・・・
期待と不安が胸中を交錯する。
終電前の新大阪行きのぞみは、定刻、東京駅を滑るように発車した。
ありさの隣に座る人は!・・・空席だった。
が、しかし!
なんと、次の品川で、10数名の外人団体さんが、ありさの座っている席を取り囲むように陣取ることとなる><
そんなことになるとはつゆぞ知らぬありさは、車内が異様に暑かったので、着ていたダウンコートを脱ぎ、空いている横の席に置いて
さっそく買ってきたサンドイッチとビールを取り出してプッシュ~!かんぱ~い!ゴクゴク!プッハ~><うまい!!
ミニスカートだから太もも丸見えで、サイハイブーツが諸見えな上に、足を組んでるから
かなりエッチでセクシーなスタイルしてるんだろうな~今のありさ・・・な~んて思いながら、がら空き状態の車内でくつろぐありさだった。
そして、問題の品川駅に到着。
かなりの人が乗り込んで来た。
・・・ん、外国人がこっちの方にやって来る。
・・・え、えええ!!!
あっと言う間にありさは、周りを外人の男女に取り囲まれてしまった。
まずい><
缶ビール片手に、あられもない格好(ってほどでもないけどw)でくつろいでいたありさは
とっさに隣の席に置いていたコートを膝上に引き寄せて足を隠し、組んでいた足をもどした。
間髪を入れずに、40歳ぐらいの女性が座った。勿論、金髪の外人さん。
「・・・キューズミー!」
笑顔の彼女は、ありさに声をかけて座った。
通路をはさんで反対の席についた子連れの男性が、彼女が持っていた荷物を
「よっこらしょ!」・・・とは言わなかったが一生懸命棚に上げてやっている。
家族連れか~。
やっぱ、力のいる仕事は男がやらなきゃだね!
このグループって、家族連れの団体ツアーなのかな~・・・
って、そんな事悠長に考えてる場合じゃないよ!ありさw
しゃべりかけられたらいったいどうすんのよ~w
隣の女性は、フード付きのジャケットコートを脱ぐと、ありさと同じように膝上に丸めて置き
通路越しに、夫であろう男性とおしゃべりを始めた。
ありさは、話しかけられるのだけは勘弁だったので、ずっと窓の方を見て、関心がない振りを装ってはいたが
夜の車窓は鏡と同じで、見えるのは車内の光景なのであり、彼女らの様子が丸見えなのだ。
たまに、窓越しに彼女らと視線が合ってしまうこともw
そしてついに、と言うか案の定・・・w
目が合った男性がにっこり微笑んでしゃべりかけてきた。
「東京・・・疲れましたwが満足です。」
続いて横の女性がニコニコと
「これから京都なんですよ~。」
たぶん、オーストラリア人だろうと思った。
と言うのも、トゥデイがトゥダイと言う発音になっていたから。
オーストラリア弁とでも言うか、そういう発音をする人が多いのだ。
しゃべっちゃいけない。しゃべっちゃうとばれるw
どうしよどうしよ><
でも、知らん振りしちゃうと、彼女らの日本人に対する印象を損ねちゃうし><
(・・・こんな場合に、日本人の印象どうのこうのってのは取り合えず置いといて、まずは保身第一でしょw)
ありさは、覚悟を決めて、彼女らの方に向いて微笑み返し、出来るだけか細い小さな声で・・・
しゃべっちゃった~><
「ユー フロム オーストレイリア~?」
続く